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ダンボール工場の場合

 ダンボールを製造するコルゲーターマシンの70%以上に、スチーム・Zが導入されています。
好評の理由は、基本的には工程を構成する全加熱ユニットに期待通りの熱が付き、工程が安定するので、歩留まりが増加し、生産性が向上したからです。
 コルゲーターは加熱シリンダーと熱板からなり、付属するトラップの数は30~40個です。
普通、各トラップの出口側は、1本の同じ回収管に接続しています。
 製造ロットサイズがほかの産業に比べて小さく、1日50回くらい運転を止め、段取りを変えて再び運転を繰り返している現場が多くあります。
 使用蒸気圧力が、1.0~1.2MPaと比較的高いのでトラップが故障しやすく、たいていのコルゲーターは、吹抜故障トラップを抱えています。そのため、伝熱面の温度が低く、しかも左右の温度が一致しない加熱ユニットが存在している場合が多いです。しかし、そのような現象に慣れてしまっていて、不具合を何とかやりくりして調整し、運転をつづける、つまりやりくり上手が作業員の技術と見做されていました。
 また、新しいロットに段取りを合わせて運転を始めた場合、各加熱ユニットの温度が安定しないうちに出てきた品物は不良品であり、しかも同じ製品を作る場合でも、その都度その量がばらつき、運転初期の不良品をいかに安定して減らすかが大きな課題でした。
 既設トラップをスチーム・Zに交換したら、その時点で吹抜故障が全く無くなり、その後の吹抜故障も材質的にも構造的にも起こりえないので、全加熱ユニットの熱付きがよく、全工程の温度が長期間継続して安定しました。従来、個人の勘を頼りにしていたやりくり技術が不要となり、製品ごとの運転マニュアルを作ることができ、管理が非常に楽になりました。
 運転開始後、製品品質が安定するまでの時間も短縮し、原料板紙の送りスピードを上げても、
初期不良品が減少し、歩留まりが上がりました。当然、時間当たりの生産性も格段に向上し、作業時間が短縮しました。
 耐久性も抜群でコルゲーターの最長例では20年間故障もなく、現在も順調に動いています。
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